菩薩像の誕生


 当初、仏像と言えば、如来像だけであった。
その如来像も大乗仏教の台頭により
様々な如来像が考えられるようになった。

 これと同時に悟りを求めて
如来になろうとする修行者も
重要視するようになる。

 この悟りを求める姿への関心の高まり、
それが菩薩像誕生の背景である。

 菩薩(ぼさつ)は、
梵名ボーディ・サットヴァの音写。
悟り(ボーディ)を目ざす人(サットヴァ)。

 その菩薩像の原型、モデル
となったのが出家前の釈迦の姿である。

 出家前の王子なので
豪華な王冠を被り、ネックレスなど
きらびやかなアクセサリーを身に付ける。

 菩薩は、もともとは
釈迦の修行時代を現すものからスタートする。

 しかし、そのうち、広義に解釈され
「悟り」を求めて修行に励むもの
全てをいうようになる。

 特に大乗仏教の菩薩は
出家して修行に専念する人だけではない。

 普通の在家(ざいけ)のスタイルで
家庭生活を営みながら修行する者も
菩薩的意味あいを持たせるようになる。

 悟りを求める菩薩の姿、
菩薩像もまた、多様化していく。



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