「空」と仏像


 「空」の解釈として
特別な神秘的なものを「教えの原理」
の中心とする大乗仏教。

 その大乗仏教が
中国経由で日本に入って来る。
日本の多くの仏像はその影響を受けている。

 当初、中国では、大乗仏教と
本来の釈迦「上座部仏教」が混在していた。

 しかし、大乗仏教は特別な修行をしなくてもよく
大衆へ門戸が解放され、裾野を広げていく。

 結果、大乗仏教が優勢となり
遠く離れた日本には、大乗仏教の先端として伝播。
日本では、ほとんど大乗仏教一辺倒といえる。

 偶像を否定する、本来の「釈迦の仏教」とは違い
大乗仏教は、偶像、仏像を肯定する。

 いや、むしろ、仏像は、
特別な「神秘的なもの」を具現化するために
大きな役割を果たしていったと思われる。

 仏像は多様化し「別の世界にいる仏」など
様々な宗派が誕生する背景とも重なる。

 例えば、親鸞の浄土真宗は
阿弥陀という仏に身を任せれば
極楽の世界へ導いてくれると説く。

 奈良の大仏のように
宇宙の絶対的な実在としての毘盧遮那仏。 
釈迦以前にも仏がいるとする過去仏、未来仏。

 「空」で袂(タモト)を分けた大乗仏教は
仏像の多様化を様々な形で展開させていく。



TOP