如来と菩薩の原型
当初の仏像は出家後の釈迦の姿をできるだけ
ありのままに再現したと思われる。
というより500年以上経っているなか
造り手は齟齬のないように
手堅く完成させたのかも知れない。
しかし、ひと度、仏像が出来上がると
当然、偉大な釈迦ゆえ、急速に神秘化する。
粗末な布1枚をまとう修行僧の姿は
悟りを開いたブッダか、修行中かは問わない。
特別な絶対的な存在となっていく。
この出家後の釈迦の姿、仏像が如来の原型となる。
仏像というと如来だけであった。
その後、出家前の釈迦の姿も仏像化される。
王子であったから、布1枚という訳にはいかない。
豪華な王冠を被り、ネックレスなど
きらびやかなアクセサリーを身に付ける。
作り手は当時の風俗を歴史的にも調べ
忠実に再現しようとしたものと思われる。
それは、明らかに、悟りを開いたブッダではない。
出家前の釈迦の姿の仏像化である。
この釈迦の出家前の仏像が菩薩の原型となる。
今、日本で見られる仏像のうち
釈迦如来、阿弥陀如来、薬師如来などは
出家後の釈迦、布1枚だけまとう姿である。
一方、観音菩薩、文殊菩薩などの菩薩像は
出家前の王侯貴族の風俗そのままに
王冠、ネックレスなどアクセサリーを身に付けている。
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