仏像の誕生


 ブッダの面影を追う熱き想いから
ついに仏像は誕生した。

 きっかけは今で言う国際化である。
最初の仏像は、今のパキスタン、
インド西北のガンダーラで生まれた。

 このガンダーラは早くから
ギリシャとの交流も盛んで
シルクロードの要衝としても栄えた。

 宗教についてもオープンで
他の宗教を排除することもない。

 ギリシャと言えば、ギリシャ神話
そこに登場する神々の像、
即ち、「神像」は身近なものである。

 そこに、偶像否定の思想はない。
これがガンダーラで仏像が生まれた背景である。
そして、仏像への飢餓状態に火が付く。

 一たび、偶像否定のタブーが破られると
インドの他の地域に広がっていく。

 インドの中部のマトゥラー
今のニューデリー南100キロでも
仏像が造られる。

 両地区が影響し合ったかは定かではない。
しかし、仏像誕生の情報は駆け巡ったと思われる。
いずれにしても機は熟していたと言えよう。

 ガンダーラの仏像はギリシャの影響もあり
彫りの深い西洋風な顔立ちである。

 一方、マトゥラーの仏像は東洋的な風貌で
この仏像が後の仏像の基本となっていく。



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