ブッダの面影


 ブッダは実在の人物であり
その教えは偶像を否定するものである。
ブッダの弟子たちは忠実にその教えを守った。

 しかし、ブッダの意に反して
遺骨は仏塔に納められ、面影を偲んで
多くの人が訪れるようになった。

 それはブッダの教え、本来の仏教よりは
あまりにもブッダが偉大であるが故の
庶民的な自然な動きでもある。

 仏塔はいつしかブッダのシンボルとなった。
さらにブッダの面影を追う動きが起こる。

 ブッダの足跡をかたどった仏足石(ぶつそくせき)。
説法を象徴する宝輪(ほうりん)。

 ブッダが悟りを開いたとされる
菩提樹などもブッダの面影の対象となる。

 同じ菩提樹でも、その下に設けた台座を空席とし
そこにブッダいることを暗示させる方法で
ブッダの面影のイメージを膨らませる
など苦心するようになった。

 また、ブッダの教えとは別に
あまりにも偉大で神のような存在は
偶像など具体的にしない方が良いという
偶像否定の思想も後押しする。

 ブッダ入滅後、偶像否定の時代は
500年以上続いたと言われる。

 そして、ついに偶像否定のタブーは破れ
仏像の芽生え、誕生へと時代は移る。
その仏像がなかったら、仏像の不思議も語れない。
それでは、なぜ仏像が?



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