男の見方、女の見方
仏像は中性である。
男でも女でもない。
しかし、男性の見る仏像、女性の見る仏像に
違いがあるだろうか?
中性と言いながら、異性への面影を
知らぬまに追い求めることもあるだろう。
人気の阿修羅も「美少年」として
その魅力を追う女性も多いかも知れない。
和辻哲郎も「古寺巡礼」で
大安寺の十一面観音について
「その肢体はなかり写実的な女の体にできている。
胸部と腰部とにおいて著しい。」
さらに「観音らしい威厳はないが、
ヴィナス風の美しさは認められる。」と続く。
和辻哲郎が女だったらこんな見方をしだろうか?
また、与謝野晶子は鎌倉大仏を
「かまくらや みほとけなれど 釈迦牟尼は
美男におはす 夏木立かな」と歌った。
名コンビの男性2人の「見仏記」で
鎌倉の東慶寺の水月観音について
「この女性は手強いなと思わせるものがあった。
知の深味とかわいらしさをあわせ持っているからだ。」と。
HNKの「おしゃれ工房」(鎌倉仏像めぐり)で
ある女性漫画家が
仏像に出会った経緯を語っていた。
円成寺の大日如来座像の大ファン。
その理由が凛々しい若い男の子、
ちょっとヤンチャとも見える表情が大好きだとも言う。
仏像は中性とはいえ、
男性は女性の、女性は男性の面影に影響を受けそうだ。
それでもそれがきっかけで仏像ファンになればいい。
仏像にはそんな不思議な魅力もある。
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