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  「千か寺探訪」
  
                    ■ 出版記念祝賀会→会場風景
  

■ 千か寺探訪   

 
■ 著・写真        田廻良弘
■ 出版社名     (株)ラトルズ  (株)ラトルズ
■ 出版年月日    2016年5月31日
■ ISBNコード     978-4-89977-446-4(4-89977-446-X)
■ 頁数・縦      253P 19cm
■ 価格      1,500円+税

 

 

■ 要旨 

 気軽に始めた寺廻りだったが、「日本の寺」の興味深さに足は早まった。
廻ったその数、三年で千か寺。有名無名、宗派を問わず、全国くまなく
歩いた現場で見えた、古寺をめぐる風景・仏像・建築・歴史・文化・習俗を
ごく簡潔な文章で紹介。


■ 目次 

第1章  京都の10か寺
第2章  奈良の10か寺
第3章  鎌倉の10か寺
第4章  日本の10か寺
第5章  心に残る10か寺
第6章  風向明媚な10か寺
第7章  伽藍をみる
第8章  境内を歩く
第9章  仏像と出会う
第10章  地域を知る
第11章  歴史を知る
第12章  神仏習合の不思議
第13章  信仰の姿
第14章  生活の中の仏教
第15章  仏教文化のひろがり
第16章  足跡をたどる
寺名索引・住所録

■ 「はじめに」より   

 

 この度、全国のお寺を回ってみた。きっかけは定年退職である。初めは鎌倉、奈良と続き、京都。さらに全国へ展開して1000か寺。鎌倉55、奈良90、京都304、滋賀131、東京も100か寺探訪。北海道から沖縄まで全47都道府県を一通り回ったことになる。当初は北海道や沖縄にお寺があるのかさえ分からなかった。筋違いながら、経営の鉄則、先ず現場を回るという癖が出たのかもしれない。また、健康のために歩く。理屈付けはともかく、走り出したのである。今まで地方の銀行員として中小企業の経営に関わり、金廻りを考えていたのが一転、寺廻りに奔走するようになったのである。 

 ただ巡るだけではなく写真を撮りコラムを書く。御朱印をもらうことをせず、ホームペ−ジに載せることにした。世間の周知にさらす。それはやりがいがある一方、間違いがあってはならないという緊張感もある。コラムを書くことで得たものも多い。大小に関わらずA41枚に書く。現地に行って写真を撮るが資料不足で書けないものもある。当然1000件の中に入らない。しかし、その課程で貴重な知識を得たことも多い。また、その積み重ねは、お寺への情報として膨らんでいった。点と線が繋がりお寺への興味が増す。その連続があったからこその1000か寺かも知れない。 

 奈良・東大寺の大仏殿。2階建てに見えるが裳階(もこし)付きという。あの大きい大仏が入るのに、確かに階を区切っては窮屈である。それでは裳階とは何か。裳は上代の女性が腰から下にまとった服。そこから転じて建物の下につける飾り。その眼でみると裳階付きは案外多い。そうなると屋根にも注目。茅葺き、檜皮葺、また入母屋造などとなると写真も正面からではなく、少し斜めのアングルでないと分かりづらい。写真の撮り方が変わる。境内の木や花、蛙などゆかりの小動物にも関心を向けると写真の対象物も広がる。 

 三重塔、五重塔はお寺探しの目印になって良い。時々、多宝塔がある。二重塔に見える。多宝塔は初層が四角で上が円形。二重塔は下も上も四角と構造が違う。それはともかく、多宝塔はインド、中国にはなく日本生まれという。塔が釈迦の骨・仏舎利を祀るのに対して多宝如来を祀る。これは法華経から来ているという。そうなるとお経も勉強しなければならない。教典を調べていて維摩経の方丈に出会う。方丈は維摩居士の室から来ていることが判明。その後、僧侶が住む家から僧侶そのものを指し、本尊を祀る本堂、さらに天龍寺の大方丈なども出現することになる。また、観音経の観音33変化から観音霊場33所巡り、京都の三十三間堂などにも繋がることが分かる。歩きながら考え・調べる。調べながら歩く、そんな日々が続くことになる。 

 1000か寺を回ってのキーワードは「地域」と「歴史」である。全国各地のお寺にそれなりの物語があり、歴史がある。お寺の始まりから発展、その過程で生まれた逸話、エピソードも多い。お寺を中心とする風俗・風習、さらには新しい文化の土壌の誕生もある。それらを丁寧に分類しながらバランスを取る構成に心がけた。「地域」を知る、「歴史」を知る、そして「日本」を知る。そんな想いもある。 

 分類をする前に、お寺全体の概要として、京都、奈良、鎌倉、全国10を挙げているが、それぞれの数字は順位を表すものではない。なお、仏像拝観は京都・奈良など個々のお寺で紹介しているが、そこにはないものを取り上げている。 

 お寺の当事者自身は宗派、修行の性質上、他のお寺への関心は向きにくい。また、仏教学者、専門家は現場のお寺をこれほど回った人は少ないと思われる。また、多くのお寺の案内手引き書は個別のお寺毎になっている。お寺全般にわたる本が意外と少ない。何事も理論と実践、書物と現場。1000か寺というお寺の現場を踏まえて、まとめることはそれなりに意味があるのではないかと思い出版に踏み切った。 

 お寺の背景にある日本の仏教の立ち位置も少なからず理解が深まった。また、日本の神仏習合を真に理解するためには神社も回らなければならないばとの思いもある。一方、仏像の誕生の背景、仏教についも本格的な勉強を始め、釈迦の誕生から原始仏教、さらには大乗仏教、密教と源泉を辿るにつれ、現在の日本の仏教の課題、問題点も見えてきた。ライフワークの一つとして、それらにも取り組みたい。 

 お寺は結構、面白く奥が深い。一日本人としてお寺に無関心な人への橋渡しになればとも思う。伽藍、境内、仏像、信仰、風俗、文化など入口は数多く設けてある。東京オリンピックもある。日本人として発信する機会も多くなると思われる。無宗教でも日本人である。一人でも多くの人がお寺に関心を持ち、日本人の心のふるさを理解する糧になればとも思う。なにしろ、少し前までは無関心層の一人である。無関心からの出発。そこに説得力があればと思う。 

 70才で定年退職し、3年で1000寺を回った。これから高齢社会が本格化するなか、「第2の人生」のヒントの一助になれば幸いである。


 ■ 出版記念祝賀会
   
  横浜YBS南幸ビル9Fホールにて(2016.7.23)
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